すいの 2005年10月07日

 従業員さんの急なお休みで、久しぶりにお伺いしたお得意様の店で随分奇妙なものを発見しました・・・

そのお得意様は、大変古くから代々伊勢神宮は外宮(げくう)さんの前でご商売をされているお店で、久しぶりに伺うと「あら!めずらしい。」と、それでも素敵な笑顔で迎えてくれました。

以前のようにセイロ入りの伊勢うどんを店の奥まで運んでいくと、その傍らに御輿を小さくしたようなものが置かれていたんですね・・・

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「おばさん、これナニ?」

「あぁ・・これナ、すいのっていうんさ」

「スイノ?」

「うん。」「昔からあって今でもつこうとる出汁こしなんサ。」

「へぇ・・・!!」

「底は馬素ってゆうて、馬のしっぽの毛なんサ!これでな、煮干やかつお節を濾すんやんな!ようできとるやろ」
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「へぇ・・・!!!」

僕は、とにかく感激してしまって「写真取らして!」と言いながら、話を聞いていた。
それによると、これは正式には水嚢(すいのう)といい、古くからある出汁濾し器で昔はどこのうどん屋さんでも使われていたらしい。
ここのおばさんも、先代の店主のときから使っているそうで、なるほど見るからに年季の入った代物である。

すっかり聞き入ってしまって後の配達時間が危なくなってきたので、「ありがとう!!また顔見せに来るわ!」と言って後にしたのですが、おかげ参りより賑わってきた伊勢の街。そのお店は大正のときに始められたそうなのですが、それでも伊勢の歴史のほんの一部を垣間見たような気がして、あらためて伊勢の街が好きになった出来事でした。

もうすぐ神嘗祭・・・

また、伊勢の街が賑やかになります・・・