セイロ盛りの伊勢うどん 2019年01月09日

セイロ盛りの伊勢うどん

木製の枠の中に竹のすのこを敷いた「セイロ」に伊勢うどんを並べたもの・・・。

まだ、包材としてポリプロピレン(ビニール)が無かった頃は、すべてこのようなセイロにうどんを盛って、お得意様に納品しておりました。

 

一般に包材としてビニール袋が使われるようになったのは昭和40年代半ば頃で、伊勢うどんも袋入りの個包装となり物流が可能になりました。そして、他地域のうどんも同様に物流が可能となって伊勢に入って来るようになり、この頃から他のうどんと区別できるように、伊勢のうどんだから「伊勢うどん」やな!とパッケージに「伊勢うどん」として売り出すようになりましたが、弊社では今でも「セイロ盛りの伊勢うどん」を作っております。

 

この「セイロ盛りの伊勢うどん」は、手で盛るので麺が切れず、しかも適度に麺の水分が切れるので麺が伸びにくく丁度良いコシが残る。ということで一番おいしく食べられる「伊勢うどん」の保存方法なのですが、なにしろ「むき出し」の状態ですので、ナイロンのシートを被せて運ぶとはいえ、おのずと消費期限は短くなり保健所さんも良い顔はしません。

ですので、弊社でも納めさせていただいているのは、本当に昔からごひいきにしていただいている伊勢市内の数店舗のみになりました。

 

少しでも長持ちさせられるよう、茹で上げすぐの麺をキンキンに冷えた水に浸けて芯まで冷やし、それをセイロに盛りつけるのですが、今の時期、これが結構辛く5玉も盛ると手が真っ赤になり悴んで感覚が無くなってきます。

およそ1玉260~270gで盛るのですが、手が冷え切って感覚が無くなってくると目方がぶれてくるのでその都度ハカリで計量し感覚を取り戻します。

手袋をはめてやるのですが、手袋をすると麺の感覚が分からなくなるので(私は左手で重さを計るので)右手にしかはけないです。

(動画で盛っているのは父です。)

 

今後、時代の流れとともに食品の安全面、衛生面の基準が厳しくなってくると、こういった形態での納品は禁止されてしまうかもしれませんが、それまでは「昔ながらの伊勢の味」の一つとして残していきたいものです。