今夜は素敵なコンサートに行ってきました。 2022年12月10日

今夜は素敵なコンサートに行ってきました。

 

実は、先日「奉納トーク」と題された対談形式の講演に呼ばれて、どういった思いで家業を継ぐことを決心したのか。などをお話する機会を頂いたのですが、その講演の帰りに主催の上島さんから、「今度ピアノのミニコンサートがあるからお前も来ないか。滅多に聴けない人のコンサートやぞ。」と誘われ、私もクラッシックは嫌いではなかったので、それでは是非伺います。と行くことになった。

 

この、主催の上島さんとは、本名を上島憲といい、上島さんが伊勢の商工会議所の会頭をされておられたとき、私も青年部の会長をしていたというご縁で知り合い、それ以後色々とお世話になり、また弊社にOEMのご依頼も頂いたりとなにかと良くしていただいている方で、知る人ぞ知るものすごい人なのだけれど、私にも親しく接してくださる優しい人だ。

 

そのようなことがあって今夜はそのコンサートに行ってきた。

 

会場は先日「奉納トーク」でお招きいただいた場所で、中に入ると落ち着いたムードに飾られた部屋の中にグランドピアノが置かれ、そのピアノを扇状に囲むように席が20席ほど並べられていた。

親しい人しか声がけをしていないのか、本当にこじんまりとしたミニコンサートだ。

 

開演は19時。あと数分で始まることもあって席は殆ど埋まっており、私は入り口近くの手前から2番目の席に座った。

 

今夜の演奏者は紅林弥生さんという方で、あのさだまさしさんの音楽監督もされておられたという方だった。(なるほど、めったに聴けない方のコンサートだ。)

 

その方と上島さんは、非常に親しげでオープニングの際、二人でピアノの連弾というおまけまでついていた。

 

さて、いよいよ講演の時間。

上島さんは、最後に空いていた私の隣の席に着かれた。

 

まずは、時節柄トラディショナルなクリスマスソングのメドレーから始まったのだが・・・これが本当に凄かった!

 

彼女の独特のアレンジが加えられたその曲たちは、それぞれが持つ曲のイメージというか情景が勝手に浮かんでくるような旋律で、例えば少し昔の西洋の街。とんがり帽子のガス燈に明かりが灯り深々と雪の舞う街なかを、手にはお花やケーキ、クリスマスプレゼントを手に持った人が行き交う風景。とか、その喧騒がおさまり静かになった街の空から鈴の音だけが聞こえて来る。とか、そういった情景が彼女の奏でるクリスマスソングには浮かんでくる。

 

私は、聞き入ってしまった。

 

「来て良かったやろ。」

不意に右腕を叩かれたかと思ったら、隣の上島さんが囁かれた。

「はい!」

 

クリスマスソングの次は「アベマリア」になった。またここでも情景が浮かぶ。

カッチーニの「アベマリア」を演奏された時、私には、夜、馬小屋で生まれたキリストを愛でるマリア様が浮かんできた。

 

これまで数えるほどしかコンサートというのは行ったことがないのだが、それでも演奏を聞いて、イメージや情景が浮かんでくる演奏というのは初めてだった!

 

ひと通りクリスマス関連の演奏が終わると、次はリクエストタイムになった。

さだまさしメドレーの後、メモリー。戦場に架ける橋。ゴットファーザー。チャップリンのスマイルなど、往年の名作の映画音楽が部屋に響いた。

また、ジョージ・ガーシュインなどの演奏も入り会場は大いに盛り上がった。

 

と、その時、上島さんが、「おい!与作、リクエストしろ!」と、私に声をかけてきた。

「え?」

「与作。与作いったれ!」

「いや、この雰囲気に与作はイカンでしょ!」

 

いや、与作って、雰囲気ぶち壊しやん。と思っていた次の瞬間、

「次、他にリクエストありますか?」と聞かれた瞬間、あろうことか上島さんは私の腕をつかむとその手を高く上げて、「こいつが「与作」って!」と叫んだ!

(え?、え?、え? は、私である)

 

「与作…!?」

 

と、紅林さん。

会場は苦笑に包まれたが、それでもニッコリと上島さんに微笑むと、ゆっくりと「与作」を弾き始めた。

 

流れてきた旋律に私は少し震えてしまった。本当に凄かった!!

弾く人が弾くと、与作もこうなるのか!

ジャズ調というかボサノバ風というのか、にアレンジされた与作は、本当に見事にこれまでの雰囲気に調和し、会場の人たちも聞き惚れていた。

 

「おい・・・。言ってみるもんやなぁ。」

一番感動していたのは、上島さんだったようだ。

 

「はい。本当にすごい。与作がこんな曲になるんですね。」

「お前、こんな伊勢うどん作れるようになれ。」

「・・・そうですね。はい!」

 

「与作」が終わると、これまで以上の拍手が会場を包んだ。

 

その後は、あの俵万智さんに「恋が溶ける湖」と名付けられたという曲をはじめ紅林さんのオリジナル曲を何曲か演奏され、最後は、これも紅林さん独特のアレンジを加えたショパンの「別れの曲」でエンディングとなった。

 

会場の外は、思わず身が縮まるほどの寒さだったが、久しぶりに素敵な音楽に触れられたせいか気持ちはほんのりあたたくなっていた。

 

こんな伊勢うどんか・・・。

 

上島さんの言葉が浮かぶ。

 

目指しますよ!上島さん!